『半地下』がオスカー獲って以降、

韓国系の映画の上映がかなり増えてるなぁ…

と、映画館で予告集を見る度に思う。

あと『ミッドサマー』以降、

A24絡みの映画の上映もね。

実際、A24は海の向こうでも増えてるのかもしれないけど

ブランド至上主義の日本なんて酷いもんで、

実際に製作ではなく、向こうで"配給"ってだけでも

さもA24製作かのように

デカデカとロゴ出して予告編作ってるのもあったりするし。

まぁ、そういうのをキッカケに

関連作品を増やすのは結構だけど、

それで映画館に足を運ぶようなのが増えるとは思えんけど…

実際のところどうなんでしょうね(。-ω-)

どうも、トトです。



前回の『All the Streets Are Silent』から2日、

今日はAtSASと同日公開だった作品を観に。

AtSASはドキュメンタリー作品でしたが、

本作はしっかり「映画」としてのフィクション作品。

とはいえ、もしかしたら

近い将来、こうした環境になるかもしれない

と思わせる作品でもあります。

そんな今年31本目の新作映画はこちら。




20221022_004824
アフター・ヤン
(原題:After Yang)

“テクノ”と呼ばれる人型ロボットが、一般家庭にまで普及した未来世界。茶葉の販売店を営むジェイク、妻のカイラ、中国系の幼い養女ミカは、慎ましくも幸せな日々を送っていた。しかしロボットのヤンが突然の故障で動かなくなり、ヤンを本当の兄のように慕っていたミカはふさぎ込んでしまう。修理の手段を模索するジェイクは、ヤンの体内に一日ごとに数秒間の動画を撮影できる特殊なパーツが組み込まれていることを発見。そのメモリバンクに保存された映像には、ジェイクの家族に向けられたヤンの温かなまなざし、そしてヤンがめぐり合った素性不明の若い女性の姿が記録されていた……。




原作は短編小説の『Saying Goodbye to Yang』という

アフター・ヤン

を観てきました。

映画館での予告編では見たことはなかったけど、

確かシネマトゥデイかどっかのYouTube垢から

初報で出してたのを見てチェックしてた作品です。


現在ゲームの方では『Cyberpunk 2077』をプレイ中

最近リリースされた新譜には

サイバーパンクな曲があったりして、

なんかそういうのが関連付いていくというか

偶然は偶然にしても、そんな感覚を味わいます。

まぁ、ロボットやAIっていう近未来的要素があるだけで

本作はサイバーパンクほどデジタル全開ではなく、

血生臭い世界観でもありませんが。笑


本作に出てくるヤンも

ロボットっていうか、アンドロイドのが近い印象。

After Yang_2

やっぱ"ロボット"っていうと、

どうしてもメカメカしい方が浮かんできてしまうので。

同じAIを積んだ機械だとしても、

外見が人に近くなればなるほど、アンドロイドなイメージ。

中間はサイボーグとか、かな?


ってのは置いといて、

けっこう楽しく観れました。

観るまではそこまで期待してなかった

っていうと言葉悪いけど

そういった印象が変わるくらいには楽しめました。


まずオープニングの家族ダンスバトルで

引き込まれましたよねw



予告編から察するに、

こんなにアクティブに動くシーンがあるなんて

全く想像してなかったしw

コリン・ファレル頑張ってるなぁw

でも、本作を観たあとで思えば

「家族」で参加すること

「4人」で参加することの意味があることで

シリアスな作風の中で唯一ちょっとコメディ的で、

良いシーンだったと思えます。

しかし、リアルタイムに参加人数の表示と

4人のシンクロ率によって

フェーズ毎に脱落していく人数が出てくる

ゲームシステムは面白かったですね。


で、そうした序盤からヤンが機能停止

復活という名の修理の手立てを探すところで

物語がスタートしていきますが、

ヤンにブラックボックス的なメモリバンクがあったことで

色々と事態が動いていく。

バンク内の表現は

他の映画やゲームでもよく見るような

星空のような、宇宙のようなイメージで

こちらとしても非常に取っつきやすかった。



その中に残されていた映像は

ジェイク家に来る前のヤンの見た景色だったり、

もちろんジェイク家に来てからのことも。

ヤンにその時の感情がどう機械的に判断されていたのか

はたまた、判断されずによくわからないものとなっていたのか

恋愛に目覚めるような描写もあったりとか。

序盤で止まってしまったヤンのこれまでを

メモリバンクの映像から解き明かしていくのは良かった。


そうした「AI」という設定があるからこそか、

何気なく見ている景色がまたキレイだったんですよね。

映画って画的に暗い作品ってめちゃくちゃ多いし

本作もそうした暗いシーンは少なくなかった。

だからこそ余計に、ヤンの残した

明るく、色鮮やかな景色の数々は

何てことない景色でも印象に残りました。

After Yang_4

冒頭の家族写真の撮影の際も

一瞬、止まったようなヤンの視線は

その景色を記録している数秒だったのかも?

なんてことも思えます。

After Yang_1


加えて、音楽も良かった。

随所で流れるピアノの音色が良かったなぁ。

それがまた画とマッチしていて

良い感じに相乗効果を発揮していました。



あと、良い意味で気になったのはカメラワーク。

基本的にカメラは固定で撮影されていたようで

人や物の動きを追わないんですよね。

After Yang_3

定点カメラのようなカットで紡がれていくのが

良い意味でとても印象に残りました。


割とそうした印象派な作品だったからか

物語の結末としても

ヤンのその後がハッキリ描かれるワケでもなく。

まぁ、でも物語で出ていた通り、

家族も本心ではヤンを引き渡すのは嫌だけど、

再起動できる見込みもないし、

唯一無二のテックの発見として

博物館に安置されるんだろうな

ってのは、想像に難しくないと思います。


そして迎えたエンドロールは

ヤンが好きだと言っていた曲であり、

その影響でミカも口ずさむようになっていた

I want be ~♪

から始まる歌が流れました。

思えばヤンも、この曲が好きだったのはそうなんだろうけど

エイダといる瞬間と紐付いて好きって部分もあったのかも?

なんて風にも思えます。



基本は白黒ハッキリした結末の方が好きですが

これはこれで良い作品だったと思えます。

作風としてはやはり近未来的でありつつ、

ガッツリではないにせよ、

そうしたAIの恋模様を描く様は

ホアキン・フェニックス×スカーレット・ヨハンソンの

『Her』あたりも彷彿とさせます。

というか、本作でのヤンとエイダの関係は

そうした恋愛感情とは少し違うと思いますが

ヤンは人間になりたかったのか?

という、こうした作品にはありがちな疑問を

エイダに問うジェイクに対し、エイダが言った言葉

なぜ人間になりたがってると思うの?

っていう返しは新鮮でしたね。

自分がAIであることに満足…という感情はないかもだけど

AIとしての役割と全うすること以上のものは

何もないと思っていてもおかしくないのは

新鮮でもあり、盲点でもありました。

けっこう人間に憧れ、人間になりたいと思う

AIものやロボットものって多いですからね。


こういう作品がもっと公開規模デカけりゃいいのに…

と思うくらいには良い作品でした。

アフター・ヤン

の感想でした。





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